清子妃 2
清子の嫁ぐ日が近づくこの頃,子どもたちでにぎやかだった東宮御所の過去の日々が,さまざまに思い起こされます。
浩宮(東宮)は優しく,よく励ましの言葉をかけてくれました。礼宮(秋篠宮)は,繊細に心配りをしてくれる子どもでしたが,同時に私が真実を見誤ることのないよう,心配して見張っていたらしい節(ふし)もあります。年齢の割に若く見える,と浩宮が言ってくれた夜,「本当は年相応だからね」と礼宮が真顔で訂正に来た時のおかしさを忘れません。そして清子は,私が何か失敗したり,思いがけないことが起こってがっかりしている時に,まずそばに来て「ドンマーイン」とのどかに言ってくれる子どもでした。これは現在も変わらず,陛下は清子のことをお話になる時,「うちのドンマインさんは・・・」などとおっしゃることもあります。あののどかな「ドンマーイン」を,これからどれ程懐かしく思うことでしょう。質問にあった「贈る言葉」は特に考えていません。その日の朝,心に浮かぶことを清子に告げたいと思いますが,私の母がそうであったように,私も何も言えないかもしれません。