清子妃 1
皇后陛下のお誕生日(平成17年10月20日)に際して
宮内記者会の質問に対する文書ご回答
紀宮さまの嫁がれる日が近づきました。初めて女のお子様を授かった喜びの日から,今日までの36年の歩みを振り返り,心に浮かぶことや紀宮さまへの思いを,とっておきのエピソードを交えてお聞かせください。そして皇族の立場を離れられる紀宮さまに対して,どのような言葉を贈られますか。
清子は昭和44年4月18日の夜分,予定より2週間程早く生まれてまいりました。その日の朝,目に映った窓外の若葉が透き通るように美しく,今日は何か特別によいことがあるのかしら,と不思議な気持ちで見入っていたことを思い出します。
自然のお好きな陛下のお傍で,二人の兄同様,清子も東宮御所の庭で自然に親しみ,その恵みの中で育ちました。小さな蟻や油虫の動きを飽きることなく眺めていたり,ある朝突然庭に出現した,白いフェアリー・リング(妖精の輪と呼ばれるきのこの環状の群生)に喜び,その周りを楽しそうにスキップでまわっていたり,その時々の幼く可愛い姿を懐かしく思います。
内親王としての生活には,多くの恩恵と共に,相応の困難もあり,清子はその一つ一つに,いつも真面目に対応しておりました。制約をまぬがれぬ生活ではありましたが,自分でこれは可能かもしれないと判断した事には,慎重に,しかしかなり果敢に挑戦し,控え目ながら,闊達に自分独自の生き方を築いてきたように思います。穏やかで,辛抱強く,何事も自分の責任において行い,人をそしることの少ない性格でした。
今ふり返り,清子が内親王としての役割を果たし終えることの出来た陰に,公務を持つ私を補い,その不在の折には親代りとなり,又は若い姉のようにして清子を支えてくれた,大勢の人々の存在があったことを思わずにはいられません。私にとっても,その一人一人が懐かしい御用掛(ごようがかり)や出仕の人々,更に清子の成長を見守り,力を貸して下さった多くの方々に心からお礼を申し上げたいと思います。
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